| 日本ブログ 第21週−22週 : 6月17日−30日 |
6月21日 明るくない話 今週はいわゆる「自分の首すら置き忘れる」類のどじを演じている。数日前の横浜では、球場にユニフォームを持ってくるのを忘れてしまった。 日本では、ホテルの部屋は事実上のロッカーである。ロード先の球場にあるロッカーはかなりひどい代物だからだ。前日に出した洗濯物は毎回昼食時にできあがる。 それをつかんでホテルの部屋に戻るわけだ。わたしはいつものように打撃練習用の服を着ていて、試合用のユニフォーム一切合財はきちんと畳んで部屋の椅子の上に置いていた。 わたしが犯した致命的なミスは、それをつかんで道具用バッグに押し込むという手順を忘れてしまったことだ。 しかも横浜スタジアムに着くまでそのことに気づいていなかった。わたしはモンナさんを呼び出し、この難問に対処してもらった。 結局わたしは従業員にホテルから球場までのタクシー代を払う羽目になった。その費用10,000円。ロードを始めるにあたってなんとも素敵な話である。 今日は午前中に新幹線に乗って横浜から名古屋に向かった。 日本では、地下鉄であろうが新幹線であろうが乗車中は切符を握り締め、マシンを通過させて駅を出るという仕組になっている。 出口に近づいたとき、わたしは気づいた。列車に切符を置き忘れてきたのだ。 列車はすでに走り去っており、切符はわたしの目の前にあったヘッドレストの一角に挟まれたままのはずである。 ふたたびわたしはモンナを呼び出して助けてもらった。ゲートの切符係員と話をした。 本来であれば会社はわたしに正規料金(最低100ドル)を今一度請求するところだが、モンナが係員と交渉してくれた。 わたしがホークスの一員であることを教えると、若干の押し問答のすえにわたしは無事通過させてもらったのである。 モンナはいい仕事をしてくれたのだが、「あんたいつもそうでしょ」と言ってくれた。 いつもといわれても、地下鉄でも新幹線でも切符をなくしたのはこれが最初である。 そう指摘するとモンナは素早く(かれの基準では素早くらしい)、「そうかもしれないけど、こないだの横浜ではユニフォームを忘れてるし」と切り返してきた。 かれは思ったよりもおバカさんではないのである。 横浜ではおもしろい夜を過ごした。翌日がオフなので、夜の横浜見物も面白かろうと考えたのだ。 某チームメイトとわたしは通訳抜き、プランなしの自力で探検しようと決めた。 あちこち見て回ったあと、横浜駅近くの小さな寿司屋に入った。 店名を教えたいところだが、わたしは看板も名刺も読めなかった。10人くらいしか入れないとても小さな場所だった。 食事は素晴らしかった。わたしはスシが大好きだが、日本では驚くほど味わう機会が少なかった。 この店は家族経営タイプの場所だった。スシ・シェフと常連客の一人といろいろ会話をかわした。 常連さんはビジネスマンで、なかなかきちんとした英語を話す。わたしたちの職業を訊いてくるので、野球選手だと答えた。 アメリカでは、初対面の知らない人には自分がプロ野球選手だと教えたくない状況がままある。 教えると、いろいろと不愉快な会話や状況が生まれたりするからだ。 どういう理由か知らないが、日本では、自分がホークスの選手だと明かしてもなんの問題も起きない。 わたしは日本の野球ファンに励みを与えるアメリカ人という立場にあるわけで、それが関係しているのではないかと思う。 わたしはここ日本でファンに囲まれるととても心地よいし、ファンのほうは外国人選手との交流をほんとうに楽しんでいるようである。 一般的にみて日本人選手はファンとの距離を置きたがるようである。 それゆえわたしたちがちょっと会話をして個性を示すと、ファンは嬉しいようだ。 みんなとても興奮するが、こちらが不安に思うような一線は決して越えてこないのである。 わたしは日本人の名前と悪戦苦闘している。なんというか下手な自分がいやになる。 みんなが名前を教えてくれ、しかもそれが初めてではないにもかかわらず、それを正しく繰り返して発音できないのだ。 ここでも状況は同じだった。お寿司屋さんの常連ビジネスマン氏は「マキシマス」と呼んでくれと言ってくれた。 一年ばかしカリフォルニアに住んでいたとき、そう呼ばれていたからだという。 となればマックスと簡略化するのは自然のなりゆきであろう。 マックスとの会話は楽しかった。実にナイスガイの、本物の野球ファンだった。 わたしたちに会えて大変興奮しているらしく、お寿司のあと是非連れていきたいところがあると言ってくれた。 通常、この種の状況下にあっては、わたしはまず固辞させてもらう。 ここ日本では、わたしは普通なら決してしないことをやらかしてしまう傾向にあるようだ。 そうわけでわたしたちはマックスにつきあったのである。 マックス行きつけのバーに連れていってもらった。 さてわたしはこのところたいして飲まないのであるが、まあ一杯二杯(あるいは三杯)はよかろうという仕儀が続いている。 いやしくもクリスチャンを自称する人間がバーに足を踏み入れるなどいかがなものかとお思いの向きもあろう。 わたしにとっては、それは争点にはならない。なにひとつ問題を見出せないのである。 思考も行動も常時完全に制御できるし、制御できないようになるなら、飲む場所に関するスタンスを変更するかもしれない。 イエズスさまがマタイの家で食事をなさった以上、わたしがバーにいてもOKだと思っている。 マックスお気に入りのスポットで一時間ほど過ごしたのち、寿司にも同席していたマックスの友人ともども、カラオケに行こうとなった。 日本のカラオケはちょっと奇怪というか不気味になっている。 ある時点でわたしはおよそ7人と一緒にカラオケ・ルームにいた。 うち、夜の初めに面識があったのはただ一人である。 とても楽しかったが、ときどき周囲を見回して、「ここはどこ?」と自問してしまった。 なんとも自分には異常な体験だったのだが、正直言って思いっきり楽しんでしまった。 祖国を離れて何千里、英語をほとんどあるいはまったくしゃべらない人たちと異国の街をぶらつくというのは本当に面白かった。 これまでのところわたしの日本体験はグレートの一言であり、なんとも面白い人々に出会うこと多々である。 野球戦線のほうは(というか、わたしが日本にいる真の理由はこれなのだ)、ホークスは苦闘中である。 われわれは4連敗をくらっており、今週末の名古屋で交流戦も終わる。 名古屋での連戦まで二日オフがあるので、チームも気分転換できて、復調するだろう。 このところ怪我人が続き、攻撃面が苦しくなっている。 ここが踏ん張りどころなのであって、まだまだホークスはパリーグ制覇を十分狙える位置にいるのだ。 折り返し地点が近づきつつあるが、まだまだシーズンはたっぷり残っている。 TOP 6月30日 名古屋は上出来 名古屋はわたしたちを歓迎してくれた。4連敗のあと、名古屋ドームでセリーグ2位のドラゴンズと戦い、連勝できたのである。 これで2ゲームを取り戻したわけだ。このところ悪戦苦闘していた攻撃陣が2試合で15点を叩きだした。こういうのが必要だったのだ。 ホークスの新しいガイジン投手ジェイソン・スタンドリッジがデビュー戦で勝ち星を拾っている。 ジェイソンは4−0で負けていた5回に投げ、0点で切り抜けた。6回の表にチームが逆転して6−4でリードとなった。 ジェイソンにとっては悪い話ではない。1ゲームで1勝なのだ。 わたしは日本に来て5ヶ月たつが勝ち星には近づいたことすらないわけで、この一事をもってしてもジェイソンにあれこれちょっかい出す資格があろうというものだ。 リリーフの勝ち星はたまたま転がり込む代物である。投げる回と時の運がすべてといっていい。 わたしは名古屋の試合では2試合とも登板し、良好な結果を得た。 どうやら二軍から上がって以来、わたしも本調子になりつつあるようで、これが続くことを神に祈るばかりである。 これからわれわれは試合のない日が4日続く。わたしにとってはどうにも普通でない感じだ。 ホークスはうち3日を練習にあてる予定である。チームしても感覚を維持しておくためにはなんだってやるしかない。 現時点でホークスは調子がいいわけで、これを失いたくはないのだ。 ホークスの交流戦は11勝13敗で終わった。日本ハムファイターズとは8ゲーム差である。 交流戦で首位となったファイターズはチーム賞として5000万円を手にしている。 日本では交流戦優勝チームに約40万ドルが与えられるのだ。訊いた話では、その半分が選手に、残り半分はチームにいくそうである。 ファイターズにとってこの12ヶ月間は悪くない話が続いている。 去年は日本シリーズ優勝、アジアシリーズ優勝なのだ。トレイ・ヒルマン監督はご機嫌に快走中である。 球場外でも名古屋は楽しかった。天気はわるかったが、少しばかり外出することができた。 またもやわたしは見知らぬ人間数名とカラオケを歌ってしまった。 デーゲーム後の話であるから夜遅くまで騒いだというわけではないが、それでも十分楽しかった。 名古屋はクールな場所のように思われる。 マイスペースのトップページにヴィデオをアップしておいた。お楽しみいただきたい。 今回の作品および他の作品も YouTube.com で観られるようにしておいた。アカウントは Nicochan35 である。 TOP |