日本人は野球がお好き…豚足も

C.J.ニコースキー

Associated Press

福岡、日本(AP) − われわれの春季トレーニングも折り返し地点を過ぎた。極東では春季が明確に二分されている。

第一部はおよそ3週間半続き、宮崎キャンプにて行われる。この時期はただひたすら練習に明け暮れる。

全体練習、ブルペン、打撃練習、バント守備、PFP(投手守備練習)、紅白戦、なんでもありである。およそ考えられる限りの練習形式が宮崎で行われたといってよい。

第二部はわれわれのホーム球場ここヤフー!ドームで行われる。この時期はおよそ18試合ほどオープン戦があり、その後3月末に開幕となる。

開幕前の準備期間がほぼ2ヶ月半あるわけで、これはアメリカよりもずっと長い。日本人にとって、練習と勤勉はきわめて重要である。これまでの26日間でも、思わず目を見開くようなものを見せてもらった。とりわけ投手たちの練習はものすごいものがある。

わたしは最近ボストン・レッドソックスが新たに獲得した松坂大輔に関する記事を読んだ。フロリダ州フォートマイヤーでかれが行ったブルペン投球103球に関してずいぶんと取り沙汰されていた。

数ヶ月前なら、わたしも練習で103球投げる目的を疑問視したであろう。しかしここ日本では、ブルペン投球での3桁というのはごくごく当たり前なのであった。

ホークスの某投手の話では、この春のブルペンで167球を投げたその翌日に10分間の打撃練習投球をこなしたとのこと。わたしも長い野球生活ながら、ブルペンで167球投げたいという投手にはかつてお目にかかったことがない。いわんやその翌日に打撃練習でマウンドに登りたいなどありえないのである。

その投手いわく、昨年かれはブルペンで250球投げたことがあるという。この男は気楽に投げるグレッグ・マダックス型のコントロール・ピッチャーではない。いわゆる「全力投球野郎」であり、投げるたびにうなり声をあげるタイプである。その調子でいくと30歳前に肩の手術を受けることになるぞと、わたしは若き火の玉ボーイに言って聞かせたのであった。

別の投手はこの春234球のブルペン投球を行ってわたしを呆れさせた。松坂の2倍以上である。およそ信じられない話であったため、わたしは返答につまったほどだ。わたしはかれのマンモス投球をこの目で目撃しており、マウンド上で本当に気絶しかけた投手を見たのもそれが初めてだった。

日本人選手以上に練習することは絶対に不可能といってよい。伝説のホームランキング王貞治(キャリア通算868本)がわたしたちホークスの監督である。ある晩のディナーの席にて、監督はこうおっしゃった。日本人の労働倫理は、日本野球のアイデンティティーにおいてもきわめて重要なのだ、と。

監督の信念では、日本人は体格面で世界の選手に及ばないため、猛練習で対抗するしかないのだそうだ。監督は現役中、精力的な日本式打撃練習に加えて、毎日最低200回の素振りを欠かさなかったとのこと。

午後7時過ぎにユニフォーム姿でチーム・ホテルに帰ってくる選手も珍しくなかった。練習は午前9時から始まっているのである。かれらは徹底的に練習する。それ以外の方法を知らないからである。

幸いなことにアメリカ人選手たちには、同レベルの練習は期待されていない。選手生活もわれわれあたりに来ると、猛練習は益よりも害をもたらす場合が多いとコーチ陣がわかっているのである。

われわれを監視しているのはコーチ陣だけではない。ある日曜の午後の練習に45000のファンがつめかけた。アメリカでも春季トレーニングでこれほどの人数を見ることはない。

ホークスは福岡では大変な人気である。福岡市の人口が130万人であるから、昨シーズンのホークスがホームで200万人以上を動員したのは驚異といっていい。

初来日の外国人にとっては、毎日が冒険である。そしてなにより勇気と決断を必要とするのが食事である。

わたしはなるべくオープンマインディッドでいようと心がけている。だがある種の日本料理に接すると、「なぜ?」と疑問を発するしかない場合もままあるのだ。

魚料理は朝晩いつ登場してもいいことになっている。またなんであれ卵を載せていいというのもルールらしい。わたしは目玉焼きが好きだし、おいしいチーズバーガーも好きだ。しかしチーズバーガーに目玉焼きを載せてサンドイッチにするというのは思いつかなかった。日本ではだれかが思いついたらしく、しかもこのアイデアに異議を唱える人もいなかったらしい。かくして目玉焼きをトッピングとするハンバーガーがメニューに載っている。

ある晩の投手中心の食事会のとき、わたしは豚の足を食べるという光栄に浴した。あわれ豚さんは先端部を4分の1インチ幅にスライスされ、奇妙なソースとともに冷たいままお皿に並べられていた。

豚の足はわたしの「最初で最後」リストの一項目となった。このリストは日本の食事体験で増える一方である。一度チャレンジした結果、二度と食べないと心に誓った品々なのだ。牛の舌もほぼリスト入り寸前であったが、大胆なわたしはさらに数日後に特攻したことを明記しておく。

わたしは最悪のシナリオを想定している。わたしの日本滞在は恐怖症選手権参戦のための下準備かもしれない。


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