グローブの中に何がある?
2008年6月6日 – 神戸
世界のこちら側に野球をしにやって来て以来、何度も訊いたとてもシンプルな質問。それは「何故?」だ。それはなかなか率直な答えを得られないことが常だが、日本に住む外国人なら、わたしが何のことを言っているか解るはずだ。
最も最近の「何故?」は、今週、わたしが試合で使うグローブに課せられた小さな調査についてだった。私は基本的に1995年に大リーグに昇格して以来、ずっと同じルイビル・スラッガーのグローブを使っている。若干のバリエーションはあったが、基本的に同じモデル、色(黒)、そしてわたしの名前とルイビル・スラッガーのロゴが白で刺繍されている。
ある日の打撃練習の後、45分間を酸素室(ヤフー!ドームには3つある)で過ごして戻ってくると、通訳の一人が、審判が投手コーチと一緒にわたしのロッカーに来てわたしのグローブを持っていったことを教えてくれた。これにはいくつかの理由で腹がたった; 1) 何故審判が我々のロッカールームにいたのか? 2) いったいどんな訳でその審判はわたしのロッカーからわたしのモノを無断で持って行ったのか?我々のロッカーは、会社のデスクや家のベッドルームの様なものであり、誰かが勝手に入ってきて好きなものを持って行っていい場所では無い。プライベートな場所であり、我々にとって神聖な領域なのだ。3) 一体どれが私が試合で使うグローブであるか、どうやって解ったのだろうか?私はロッカーに4つのグローブを持っている。
わたしは直ちに、審判団のロッカールームを探し出し、グローブを取り返しに出た。その途中、わたしのグローブを持った投手コーチに出くわしたが、彼は私のグローブは黒い皮に白いレタリングがあるので試合に使えない、と言うのだ。これは日本に来て1シーズン半、1軍で60試合、2軍で23試合、春季キャンプで更に20試合以上使ってきたのと同じスタイルのグローブだ。100試合以上、日本プロ野球機構の審判たちの前で使ってきて、何故今このグローブはルールに則っているかなんて問題にするのか?何故今なんだ?
このスタイルはアメリカではすごく一般的だし、この配色はピッチャーに何らのアドバンテージも齎さない。黄色や、明るいピンクでさえ、黒皮のグローブに対して許されており、こちらでは見かけるのだ。でも白やグレーはダメ。薄い青も許されており、日本の投手が使っているのを見たことがある。赤でさえもある。わたしの記憶が正しければ、これらは大リーグでは許されていない。
日本人は、ときどきアメリカの野球規則に変化を加えるが、わたしは、それがなぜかということに対して論理的な説明を見つけられた例がない。厳格なボークのルールもその一つの例だし、このグローブの色もそうだ。黒、白、黄色と三色を使っているユニフォーム(ホークス)を着たピッチャーがさらに青いグローブを持てば、わたしの黒革に白のロゴ刺繍入りグローブよりもずっと目立つはずだ。それらは比べ物にならない程だ。
確かに、ルールは守らなければならないが、誰か、何故それがルールなのか教えて欲しい。何のためのルールなのか?それはわたしが時に感嘆し、時に危険だと感じる日本の文化の一部であるのだが、権威というものはめったに疑われないのだ。しかしわたしにとってはこれは答えが必要なものの一つである。わたしは少なくとも何故と問うことなしに、何の意味も無いようなものに盲目的に従うことはできない。
解決策?わたしはグローブの白いレタリングと刺繍を全部赤に塗り潰した。だから今度テレビでわたしを観たら、黒皮に赤のレタリングのグローブを着けているよ。その訳はお解かりの通り。それと4つのうち3つのルイビル・スラッガーのロゴは黒に塗り潰さなければならなかった。日本ではグローブメーカーのロゴも1つしか許されないのだ。