走ること鷹の如し

2008年2月6日 宮崎

アメリカ人投手が日本でプレーしようと思うとき、不安の種は数々あるが、そのひとつに日本人選手が行うと噂されるとてつもない量の心肺機能トレーニングがある。たしかに日本人はしっかり走りこむし、瞬発力トレーニングも山ほど行う。ホークスは賢明といおうか、外国人選手に対しては慣れ親しんだペースでやってよいとしていて、これにはわれわれも深く感謝している。

今シーズン、ホークスはオリンピックの陸上コーチを招聘している。より速くを目指すホークスは、スピードの専門家に依頼したのだ。3月に35歳になるわたしとしては、練習を楽しむほうではあるけれど、このニュースを聞いて正直ぞっとしなかった。猛練習をしてフルシーズンに備える、それがどんなものか、わたしなりに理解しているつもりである。プロ選手として15年目ともなれば、自分に必要な行動はわかっている。新コーチが過酷なランニング・メニューを課してきて、こちらの体がついていけないのでは、と不安を覚えたのだ。

わたしの不安は的中し、ホークス・キャンプのランニング・プログラムは外国人の目には馬鹿げて見えるほどのレベルに達してしまった。わたしも他の外国人選手も「好きなペースでOK」という方針に心から感謝している。練習法そのものはとても興味深いのである。走行技術や走法を練習すれば、だれでもいつでもより速く、より俊敏になれるだろう。わたしにとっては、時期がまずいといっておく。11月、12月ならこの練習もわたしにあったものになる。その時期、わたしは一番きつい心肺機能トレーニングを行うことにしている--体をへとへとになるまで追い込んで、次のシーズンに備えるのだ。春季キャンプでは、ランニングだけでなくもっとも重要なことすなわちピッチングを行うわけで、そのためのエネルギーを他のことに費やしたくない。走りこみも度をすぎると疲れがたまってピッチングに影響が出てしまうだろう。

去年のキャンプで学び、今年も繰り返されていることのひとつが、東洋と西洋の思考法の差である。合衆国では、スマートに練習しろ、量より質だと教えられる。正しく効果的にトレーニングをすれば、わずかな時間でも信じられないような量の練習ができるのだ。ここ日本では「多いほどよい」という考え方である。日本の選手たちはいろいろなフィールド練習に信じられないほどの時間を費やしている。仕事に打ち込むかれらの献身ぶりにはほんとうに感心させられる。しかし正直、逆効果の部分もあるのではないか、と思ってもしまう。ようするにこれはもう文化の違いであろう。ほとんどの日本人にとっては、このやりかたがすべてだったのであり、体を鍛える方法についてあれこれ考えないのである。わたしには向かない方法だが、なにか素晴らしいものがあるのも確かだ。